2007年版冬の炬燵の読書録-その12-山岸俊男「信頼の構造-こころと社会の進化ゲーム-」
写真は「信頼の構造」
昨今は「安全」「安心」「信頼」といった言葉が現代の社会において特徴的になっている。研究のほうの「ソーシャル・キャピタル」を中心にして多くの所で論ぜられるようになった。日本の研究における社会心理学の草分け的存在で、国際的に評価の高いのが山岸俊男氏である。山岸氏の専門である社会心理学は「人間は社会的存在であって、社会的環境との関係を抜きにして人間の心の性質を考えることは出来ないという認識」の基に出発している。(*)
山岸氏の著書での中心的メッセージは「集団主義社会は安心を生み出すが信頼を破壊する」ことであるという。ここでいささか煩雑であるが「信頼概念の整理」が行われる。
「『安心(assurance)』とは、相手が自分を搾取する意図をもっていないという期待の中で、相手の自己利益の評価に根ざした部分である。」
「『信頼(trust)』とは、相手が自分を搾取する意図をもっていないという期待の中で、相手の人格や相手が自分に対してもつ感情についての評価にあたる部分に当たる。」
安心の例で言えば、孫悟空の「頭に巻かれた輪」に担保され「孫悟空は裏切ることはない」と信ずるようなものであるという。マフィアの社会での「鉄の掟」もこれにあたる。
写真は”Making Democracy Work”ペーパーバック版
このような安心と信頼の研究はロバート・パットナム(Robert David Putnam)の名著「Making Democracy Work: Civic Traditions in Modern Italy (邦題:哲学する民主主義)」の北イタリアでの研究につながる。
(この稿未完)
参考文献
(1)山岸俊男[1998]「信頼の構造-こころと社会の進化ゲーム-」東京大学出版会
(2)山岸俊男[1999]「安心社会から信頼社会へ―日本型システムの行方」中公新書
(3)Putnam、Robert David [1994]”Making_Democracy_Work:_Civic_Traditions_in_Modern_Italy"Princeton University Press(河田潤一訳[2001]「哲学する民主主義-伝統と改革の市民的構造-」NTT出版)


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