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January 12, 2009

2008年版冬の炬燵の読書録-その38-永井荷風「断腸亭日常」

Photo_2
写真は「断腸亭日常」
荷風という人のことが最近気になり、晩年通ったというI市のD屋という食堂に寄った。晩年の荷風はここでカツ丼+菊正一合が定番メニューだったそうである。現在、荷風定食という名前でメニューに載っていた。欧米への留学経験もある荷風だから食の好みにも現われ、朝はクロワッサンとショコラであり、何でも自分で七輪でブイヤベース(?)のようなものを作っている写真が残っている。カツレツに似たカツ丼はお好みであったのかもしれない.?昔、同僚で仕事をしていたT君は若いに関わらず(当時三十台半ば)にもかかわらず、この本が気に入っていて二人で話が弾んだ.どうもお互いに気に入っていたのは荷風の文体であったようだ.荷風の父親という人は漢学者として一流の人であったようで、荷風の漢文の素養は大変なもののようだ.それは文体にも反映していて独得の歯切れのいいリズムになっている.最近、また読み直してみるとこの本を書き始めた荷風の年齢を大きく越え、下巻の年齢に自分が近づいてしまった事に気がついた.
荷風は人の好き嫌いがあるようで、嫌いな人物には近づかないということであったようだ。文士では菊池寛などは大嫌いだったようであるまたいわゆる体育会系の人間も嫌いのようで、早慶戦(慶早戦)後の慶應の学生の銀座での出来事も、自分が慶應の教師であったにもかかわらず批判的な目で見ている.個人主義を貫いた荷風にとっては組するという態度がどうも許せないようだ.
さて今日は成人式という事で、巷には晴れ着姿の若者達が闊歩している.何とも着物姿がちぐはぐな情景も見受けられるがこんな時荷風ならどう書くか興味のあるところだ.

参考文献
(1)永井荷風、磯田光一編[1991a]「摘録 断腸亭日乗〈上〉」ワイド版岩波文庫
(2)永井荷風、磯田光一編[1991b]「摘録 断腸亭日乗〈下〉」ワイド版岩波文庫

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